「住んでよし訪れてよし」

「住んでよし訪れてよし」はいつ頃からか行政の観光施策の中でしばしば目にするコピーだ。「地域の人にとって良い土地は、旅行者が訪れても良い場所だ。観光客が喜ぶことは地域も取り入れよう、地域の人たちは自分の地域の魅力を見つめ直そう。」みたいな意味で使われている。
知床にいて「住んでよし訪れてよし」を体験したのは道路だ。一本道の国道の怖いカーブが緩やかになったり、凍りやすいところには重点的に融雪剤や滑り止めを撒いてくれたり、観光客が思わず車を停めて写真を撮るところに簡易の駐車場を作ったり、通行止になる雨量を崖崩れ対策などを充実させて以前は100mmだったのが140mmに上がったり・・・。これは住民も観光客も嬉しいことだ。行政のやることだから時間がかかるけど、地域にとっては「観光のおかげで良くなった」と実感できるわかりやすいインフラ整備だ。昨年ぐらいからは、本命だった細い直角カーブを大々的に改変する工事が始まった。工事現場を学生に見せて「観光まちづくりの本来の姿はこれだ!!」と10年以上にわたる議論を説明している。
実は「住んでよし訪れてよし」という言葉を観光サイドから聞くのはとても不愉快だ。
例えばウトロで修学旅行の誘致のために24時間対応の診療所が条件となった時に地域医療の問題に関わった。例えば、消防法で決められている温泉地でのはしご車を自治体が買えず、地域がお金を出し合って購入するのを身近に見た。田舎暮らしは小さな子供の情操教育には最高だが、中学生以上の教育環境はひどいものだ。自分自身はとても楽しいのだけど、若い人に移住は勧めていない。大変なことが多すぎるので。僕は生でこれらを体験している。だから「住んでよし」というなら、これらに取り組んでから「訪れてよし」と言えよと思う。そして観光サイドが本気でまちづくりに関わるなら、僕らがやるようなコンテンツ開発などには目もくれず、しっかりとインフラ整備を行ってもらいたいという思いがある。
今回、コロナの集団感染で、医療のままならない離島をはじめとした地方の現実が晒された。「住んでよし訪れてよし」どころか、住んでいても危なっかしいところに観光客を呼び込んでいたこの矛盾に、地方の観光まちづくりはきちんと取り組みたいものだ。地域も補助金を待っているのではなく、行政に対しての真っ当な要望を出す機会としたい。

観光の人材不足

本当に観光は人材が足りなさすぎです。足りなさすぎていて、もはや説明のしようもありません。


「人材」というと能力的なことばかりに目がいきがちです。しかし、よく調べている人ほど、単純に若者にとって就職先として観光産業はありえない・・・というのが現実です。悲しいですが観光学部の学生でさえも、知れば知るほど、よっぽど接客が好きな学生以外は就活先から外していく傾向があります。

若者達は知ってます。
いわゆる「中抜け」を常態化した実質的な長時間拘束、低賃金、農業・漁業のような季節雇用を可能にする労基法などの規制緩和などをはじめとして、まずは労働環境を徹底的に整える必要があります。行政にやっていただきたい仕事は民間に任せれば良いコンテンツ開発ではなく、こうした環境整備です。
やりがいや楽しさや、田舎が好きな人は暮らしの魅力は抜群なので、僕自身はそれだけで満足でした。しかし、僕みたいな変態的な観光大好き人間を求めるのは帰って遠回りかと思います。

付加価値と消費

「価格は最後にいじるものだ」とメーカー時代、厳しい上司から徹底的に叩き込まれた。「付加価値」を簡単に口にする僕に「藤崎君、君のいうトラックの『価値』って何??」と説明のチャンスをくれた。もちろん何も応えられない。「価格はね『価値の格付け』って読めるでしょう。単なる紙幣の枚数じゃない。トラックは数万の部品でできていて、その部品にはネジ一つから価格がついていて組み立てられる。それが約1,000万円で販売会社に売られていくのだけど、それが『走る』っていうだけでもすごい『価値』なのに、藤崎君は『付加価値』という。その『付加価値』とやらを聞きたいねえ。」
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コロナ感染拡大に伴う北海道のアウトドアガイド事業者向け調査結果

去る2020年5月21日から6月5日の期間で、「北海道アウトドアガイド・体験型観光事業者の事業環境緊急調査」を行いました。(一社)北海道体験観光推進協議会さま、北海道アウトドアガイド協会さま、そして農業体験事業者など約130事業者に声をかけさせていただき72事業者より回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。

この調査を通して、北海道のアウトドアガイド事業者のコロナ感染拡大に伴う観光客の激減による影響を明らかにし、自治体などの支援策検討等につなげることを目的としました。アドベンチャートラベルなどの担い手として期待を寄せられているアウトドアガイド事業者に、早急な支援が必要なことが分かりました。

調査の考察につきましては、公益財団法人日本交通公社『観光文化』 246 号(2020 年 7 月末発行予定)にて発表させていただく予定です。まずはこちらの、概要をご覧いただきご意見などを伺えれば幸いです。なお、当データをご利用になる際はお声かけいただけると幸いです。

<調査結果>
https://forms.office.com/Pages/AnalysisPage.aspx?id=wBZwgXnxwE68TI6Jh2JXkp4jvUe2KctDnHv4_I4PPuZUMDRIQkNKRlJLQlFHWDlNRVVKN1pJMktZMy4u&AnalyzerToken=ukacZwG2yekPqeOrC3BB9JZr1hxL8i58

QR_689935

藤崎 達也
tatsuya-fujisaki@ts.siu.ac.jp
札幌国際大学 観光学部 観光ビジネス学科
〒004-8602
札幌市清田区清田4条1丁目4番1号
TEL.011-881-8844

中村さんの死を偲んで

乱暴に申し上げると、一般の人々にとって日本の「NPO」とは、行政が作って公共施設の指定管理者をやらせる団体という程度の捉えられ方になっていないだろうか。そして、聞こえの良い「外部委託」「民間活用」「行政予算の縮小」として利用されているように私は感じる。
ペシャワール会の中村さんの死を受けて、私は日本のNGOの死を感じた。今のように「社会的起業」みたいな概念がなかった頃、私は20代でshinraをNPOとして立ち上げた。当時、NPO法を作った中村さんと同じ世代の熱い思いのおじさん達と社会の変革を夢見た。60年代を生きた先輩達の闘いの話しを聞くのは大好きだった。
50年もの間、日本人は闘っていない。NPO・NGOまで魂を抜かれ、お上に阿る大人ばかりになっていないか。アベアベ言うのを聞くのも飽き飽きだ。行政や政治ができないこと、やらないことを市民がやる。今一度市民活動の原点を見つめ直したい。中村さんの死に偲んで。

「その上で」

ふと突然始まった二風谷の義経神社宮司さんによる説明。全国どこでも義経伝説がありますが、なぜ二風谷にあるのかに始まり、幕府から贈られた義経木像を地域のアイヌらが大切に保存してきたことに由来すること、神道の教義とアイヌ民族のアニミズムは合い通じること(場合によってはルーツが同じこと)、そして「その上で」神道とアイヌ民族など先住民族との関係のあるべき姿を述べていらっしゃいました。
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「場」


サンル川の隣の名寄川。程よい岩棚が続き、しかも深い。下川に僕を呼んでくれた園部君を中心にリバーツアーを展開していて人気が出ていると言う。体験観光の開発では、良い感じの「場」があると、遊びに可能性が広がる。川を知り尽くした彼が時間をかけて楽しめるポイントや危険箇所を確認し続け、安全に清流を楽しむアクティビティが生まれた。彼の「しもかわリバーウォーク」は今後さらに盛り上がりそうだ。

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スタバの新商品と増毛

「スタバの新商品が出たら、それを買って増毛(ましけ)に行く。」というのが定番のデートコースという学生がいた。「え〜なんで〜〜?」と聞くと、「新商品の感想を語り合っている間に、ちょうど厚田に到着するんです。そしたら厚田の道の駅や海を見て話題ができて・・・」と増毛までの長い道のりへの会話の戦略が出来上がっているのだ。すごい。広域観光を考えるものとして、めちゃくちゃ参考になった。
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五十手前にして漕ぐ

IMG_8489私事、ライフセービングの活動に参加させてもらおうと思っています。水が好きで、海が好きで、スポーツが好きで、観光を支える仕事が好きで、水泳やサーフィンの経験を少しは人のために役立てられるかな。地元のクラブの皆さんに良くして頂いて、昨日は憧れのパドルボード(レスキュー用のサーフボード)に乗りました。

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